NOeSIS-嘘を吐いた記憶の物語-


クラシックショコラ『NOeSIS-嘘を吐いた記憶の物語-』応援中!

(※ネタバレをいろいろ含みます。)

2011年10月に公開されたサークルクラシックショコラによるオリジナル同人ノベルゲーム(Android/iPhone/Windows)。
どこか欠けた少女達と出会い、そして不思議な事件に巻き込まれていく主人公は、過去の記憶と多様なフラグの両方の回収に邁進します。

シナリオのクオリティが非常に高く、エロゲでいうフルプライス価格でも到底足りないと思いますが無料公開されています。クオリティというのは漠たる表現ですが、シナリオ展開や抽象的表現の密度が読む側を強く引き込ませるものとなっています。タイトルのnoesis(=認識)の通り人間の心理や習性などをめぐるヒロインのセリフが多く存在し、おそらくシナリオ自体もプレイヤーが楽しめるよう多面的に考えられたものなのでしょう。
ヒロイン勢は基本的に全員異様に知能が高くかつ読心術を会得しており、主人公の置かれている状況は顔を合わせるだけですべて筒抜けになり、千夜に至っては地の文や記憶でさえも読み取る能力があります。本作にファンタジー要素は含まれるのか含まれないのか、見極めようとしながら読み進めてしまうのも作品の一部でしょう。
シナリオライターは募集中らしいのですが、この内容で募集する意味がわかりませんw 募集中というペンネームなのかと一瞬思ったほどです(後になって思いましたが、これは作者からのちょっとしたジョークでしょう)。

こうした形式の同人ゲームとしては、イベント絵は多く用意されているほうだと思います。こよみが試着した服の値段がほぼ予想通りだったのはちょっと嬉しかったり。可愛いヒロイン勢とは対照を成す怖いシーンのグラフィックは本格ホラー仕立てで、寝る直前にそのシーンを見ると素敵な夢が見られるかもしれません。ゲーム開始直後の背景がなんだか廃墟っぽいと思っていたら、まさに撮ってきたものということで、演出面でも有効活用されているようです。

本作のヒロインには全員ヤンデレの要素を見出すことができます。各キャラがそれぞれのキャラとして自然に描かれている中で、テンプレ通りのセリフや行動の枠にはまることなく、一般社会の感覚から見ればヤンデレと評せざるを得ないであろう一面がそれぞれに隠されているようです。主人公より圧倒的に頭が良く、他の優れた能力も持ち合わせているのがヤンデレの理想形だと別作品の感想で書きましたが、本作にはそんなヒロインばかり登場するのですからぜいたくな限りです。

作品内には謎解き的要素もあり、読み進めることで答えが判明するものの方が多い一方で、一部は疑問が提示されたままのものもあります。次回作で明らかになるかもしれませんが、そこは読み手に推理する余地が与えられていると解釈するのが妥当なように思えます。

(以降はストーリーへの解釈を追記していきます)


千夜の章を2回目まで読みました。
時系列でメモを書きながら進めていますが、伏線の多いこと多いことw 場所が変わるたびに番号をつけていますが、千夜の章のみで80近くあります。2週目だからこそ気になる内容も多くありますが、簡単には答えを教えてくれはしないようです。
そうした中で、明らかになってほしい点がいくつかあります。

  • 千夜はどの程度まで相手の記憶を読み取れるのか?

こよみ、憂姫、遥の考えている内容をすべて読み取った上で千夜が行動しているのだとすれば、完全に千夜の舐めプ状態、まさに外道といえます。

  • 時雨にはいつから盗聴器がついているのか?

序盤や終盤など、常に会話を聴いているのだとすれば、もう少し行動が変わるのではと思うこともあります。それとも初めから常にでしょうか。

  • プロローグに現れる人物は何者か?

良心的に考えるなら、少年は5年前の時雨、女性は一夜、の姉である可能性があります。状況からして飛行機事故ですので、この事件を機に姉は失踪し、妹の一夜は姉の姿を鏡に追い求めた末に千夜が生まれるという流れが生じます。ただし、プロローグの女性は「同じくらいの年齢になったら絶対に会いに行く」と宣言していることからすると幽霊である可能性もあり、幽霊はプロローグの女性の本体から一夜の本体へ移り、本体の特性とのギャップから千夜を生じさせつつ、5年後の時雨との再会を迎えた、とみることもできそうです。一夜となった幽霊は前回の本体であるプロローグの女性の事を疑似的に姉と呼んでいると。時雨は5年越しでヤンデレの幽霊にまとわりつかれていると、そういった説です。

  • 5年前に何が起きたか?

少なくとも、大きく3つのイベントが起きていると思われます。①飛行機事故、②こよみ邸事件、③時雨のこよみ邸訪問と思っています。時系列上①と②のどちらが先かはっきりしませんが、予期せぬ事故である①を端緒として②が起きたと考えるほうが自然といえます。また、③は②の事後処理後のイベントでしょう(③は暑い日=夏であり時間の経過をうかがわせており、時雨が記憶を保持している範囲であることから)。
だんだん何を書いているのか、という状態になってきますが、不確定情報が多い中での予想ということでここはひとつ。