エスカ&ロジーのアトリエ 〜黄昏の空の錬金術士〜

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(※ネタバレをいろいろ含みます。)

2013年6月27日に株式会社ガストより発売の旧約錬金術RPGPS3)。

エスカとロジーの2人の錬金術師は辺境の小さな街の開発班に配属され、2人で開発班をもり立てていこうと約束します。

メインパーティ7人中6人が役人(うち4人は中央出身)、周囲のサブキャラも大抵役人か元役人という役人ゲー。イベントシーンも仕事トークが多く、学生のプレイヤーならライトな職業疑似体験にもなるかもしれません。
4か月ごとに提示される課題をクリアしていく方式で、主人公の行動の幅は範囲、種類ともに次第に広がります。なだらかに上がっていく難易度調整が素晴らしいですね。

今回の舞台となるコルセイトは"中央"から気球で移動する程度に離れた山あいの土地で、りんごを名産としている交通の要衝、って松本市のことじゃないですかやだー。今回はエリア間の移動に片道で軽く2〜12日消費しますので、主人公が仮に時速5kmで1日10時間くらい歩くと仮定すると、東京や大阪あるいはそれ以上遠くまで調査しに行っていることになります。探索装備はもちろん、全員分の食料は相当な荷物量になるはず・・・って話がそれてますが。

エスカ編で1週目クリアしました。

のんびりプレイでほぼ休みなく採取と調合を繰り返し、約60時間でスタッフロールに辿り着きました。ネットで情報を集め始めたのは4年目半ばに入ってからだったので、自力プレイヤーの多くが陥るであろうエリキシル源薬見落とし、メンバーの一部がエンディング条件を満たさない、の2点はしっかり引っかかりました。あと、植物栄養剤とダウジングロッドは装備しているだけで効果があると誤解していました(メニューを開いて、選択して使用することで効果が出ます。こちらはある程度リカバリーできました)。
4年目の後半はすべて2週目の装備作成に費やし、図鑑コンプの進行はわずかでした。図鑑コンプは2週目の個人的な課題です。ダブルドローのエフェクト2種(200%以上、未満)を各アイテムで眺めるのを目指すのもいいかもしれません。武器につける最適なスキル3点の議論は検証してないので書きませんが、ルシルの武器はレシピ的な関係で継承にひと手間かかりましたね。

  • 雑感
    荒野度、夕方度高め。それでも絶望感や鬱屈感はみられず、むしろ透明感や安心感のある世界観でゆっくり過ごすことができます。プレイ中におけるユーザーストレスは排除されており、次々と課題やレシピが出るにもかかわらず、いわゆるレベル上げや材料不足による材料集めはほとんど生じないという慎重に計算されたゲームバランスで構成されています。錬金術で作ったアイテムは戦闘で使用してもアトリエへ戻れば使用回数が無償で回復するというのは一見不思議ではありますが、錬金術師の活躍が前面に出るのでとても良いですね。この仕組みがなければ、数日かけて作ったアイテムを通常戦闘で使い切るなんて行動が取れず、戦闘に苦労する日々となっていたことでしょう。ストーリーの内容は入り組むことなく簡潔で、キャラ間で恋愛展開がほぼ起こらない(あっても未遂)という謎のセーフティネットは、男女2主人公制であっても安定して完備されています。リア充を見せつけられるのはそれだけでちょっとしたストレスですし、こういう要素を排除しているのは英断としか言いようがありません。
  • 物語の舞台
    本作は前作の4年後の異なる地域を舞台としていますが、黄昏らしさが強くなりましたね。廃屋や廃線、廃村に廃工場と遺構要素が多めです。中央がどのような組織であるか、前回の黄昏でどのような動きがあったか、おぼろげなイメージは見えてきていて、もしかすると悪意なき悪意のようなものが介在しているのかもしれませんね。その結果迎えた黄昏の後に残る遺物が各所にあると思えば、なんとも愛おしく思えるものです。
  • 音楽
    音楽は大人っぽいものが多めで、エスカ達のいる職場や採取地に合っていると思われます。前作のアレンジもいくつかあるようですね。街BGMの静かさは、普通のRPGではなかなかこうはいかないでしょう。終盤で立て続けに贅沢に入る多数のボーカル曲は場面を盛り上げていると思われます。
  • グラフィック
    ゲームエンジンによって光の表現が進化しているようです。夕方で長く延びる影や空の雲の影が立体感を強化しています。戦闘のエフェクトも見栄えが良いと思われます。OPやEDをはじめとするムービーは高規格で、作品の格調を高めていると思われます。
  • 調合
    適当にやっても作ることができ、手をかけようと思えば次々と手数が増えていく、まさに奥深きシステム。アイテム1つごとに異なるパズルを組み立てる感覚で、手早くスキルを使えるようになる頃には中毒です、はい。
  • 採取
    アイテムごとに品質や効果は一定で、敵のレベルが高いエリアでも採取だけして帰ることが簡単にできるようになっています。序盤はアイテム1個を採取するだけで半日経過するので妙な焦燥感がありますが、あせらずともすむ程度の日程は確保されています。採取ポイント1か所でのアイテムが基本1個なので、その採取地で取れるはずのアイテムがなかなか出ない、ということはありましたね。遺物発見も同様で、目当ての潜力のついたアイテムを取ろうとすると、不可思議なランタン装備での繰り返しは欠かせません。ここでランダム要素が増えたのは、やや難易度アップという風に思えます。
  • 戦闘
    最初の戦闘から通常攻撃1回では敵を倒せず、一掃するには錬金術で作成した強力な爆弾の使用がほぼ必須です。ボス戦も含めて、いつも主人公が活躍する仕組みになっていますね。その反動か必殺技ゲージはたまりにくく威力も低めで、発動させたのは数回だったような気がします。後列との交代は直近のキャラとのみ可能ですが、タイムを消費して離れた位置にいる後列キャラとの交代ができてもよかったかもしれません。強力な敵の呼び出しは、どれが撃破済みかよくわからなくなりますが、2週目以降の気分転換にちょうどいいですね。
  • イベント関係
    イベントは個人的には調合を連日続けた後の休憩タイムのような感覚がありました。イベントの発生場所がアイコンで示されるので、街全体を定期的に巡回する必要はありません。一方で、見えないパラメータの交友値がイベントの発生条件になっているようで、一通りのイベントを見るには定期的に前衛キャラを変える必要があるようです。終盤でイベントの見逃しに気付く取り返しのつかなさを思えば、交友値は見えるようにしておくべきだったように思います。
  • たるの所在
    たるは終始置きっぱなしで、場所ごとに音声がわけてあるので、いつでも選んで音声を聞くことができます。フィールドではたるを破壊することができ、街中での扱いとのギャップが出ていますね。
  • 2周目
    ヒーリングサルブを1日で作ったエスカをロジーさんは褒めてあげてください。2週目でも調合や戦闘は普通に続けられますが、サポートガード○回以上、探索装備○○個装備といった課題はわざと非効率な行動を取らなければならなくなるので、このあたりの数値も1週目から引き継いでほしかったような気がしなくもないです。未達成の課題がある間は日々休みなく働き続ける主人公たちですが、ある瞬間からその期では急に何もすることがなくなりニート化するのが特徴的ですね。日程つぶしのためのミニゲーム的な要素が何かしらあってもよかったのかもしれません。
    強化フラメウは無事に倒すことができました。自動発動のエリキシル源薬があるかないかで、かなり戦局が変わりそうです。最強ボスが美少女で、何やらつぶやきながら鬼畜な攻撃を繰り出してくるのはひとつのロマンですね。
    なんとか2週目でトロフィーコンプできました。不条理に困難なトロフィーがない点や、おまけでの未開示部分が?表示ではなく非表示というのも本作のやさしさでしょう。
  • DLC(追加採取地・持たざる者の宮殿)
    無料。エリキシル源薬を露骨に補完してくれていますので、空中遺跡でスルーしていても安心です。通常戦闘は一掃できる経験値の多い敵が多数出現するので、3エリア目にある戦闘変異を先に起こすことで楽にレベル99へ到達することができます。最深部にいる強敵2体は、強化フラメウよりは倒しやすい程度のようです。戦闘マニア向けには、倒した回数に応じて強化されたり、ダメージ上限が9999くらいになるようなフィールドとかあってもよかったかもしれませんね。
  • DLC(追加キャラクター・ウィルベル)
    500円。ちょっと成長してる気がするベルちゃん参戦。一通りのパーティ用音声や動作と専用イベントいくつかが入っているので、それらを追うだけでもボリューム感はあります。スキルの強力さや使いやすさにもDLCらしさを感じられます。