キミへ贈る、ソラの花

Cabbit 第二弾!「キミへ贈る、ソラの花」応援中!

(※核心的なネタバレをいろいろ含みます。)

2012年12月21日にCabbitより発売の不思議な学園と、花咲く街で紡ぐ、学園恋愛ADV(18禁)。

幽霊が見える主人公はある日まつりから勧誘を受け、人間と幽霊がともに通う学校へ進学します。

シナリオは様々な感情の動きが連続的に表現されており、淡い色彩のキャラクターはとても綺麗で、CGモードで立ち絵を最大アップにして見ていると申し訳なくなるレベルです。

1回目は【永遠に……】ED余裕でした。雪花ちゃんが可愛すぎますので、しばらくそのことを書きます。


物語前半ではたびたび幽霊を相手にすることによる命の危険などが示唆されていましたが、よもや永遠の世界に連れて行かれるとは……w 雪花ちゃんには自らの姿を人間からも他の幽霊からも見えないようにする能力があり、恥ずかしがり屋な一面の表れであり、主人公の部屋がいつ侵入され監視されているかわからないという怖い一面の表れにもなっていたと思われます。また、目がヤンデレ状態のグラフィックが用意されていましたね! ここぞという場面で使われていて、悲鳴が出ます。プレイヤーの。
主人公が雪花ちゃんの世界に引き込まれるときの画面エフェクトは手が込んでいたと思います。引き込まれた後のストーリーにもボリュームがあり、プレイヤーは当初からの違和感を覚えながらも、状況に慣れてきた頃に選択肢が登場し、どちらを選んでもその後の屋上のシーンは"正解"であるかのように展開するというあたり、よく練られたシナリオだと感じさせられます。
雪花ちゃんが主人公にべったりするようになるのは、だいたいおみくじのせいですが、次第にクラスのグループ作業にも支障が生じ、主人公以外と口を利かなくなっていく流れは、一般には憂慮すべき事態でありながら、主人公が強く否定できなかったのは、自分だけに愛情を向けられている状態を主人公が多少なりとも肯定的に受け入れてしまっていたからですよね。雪花ちゃんの世界に引き込まれた後の、雪花ちゃんが自らいじめられることにより同情を誘うマッチポンプ、世界を受け入れされるための日常的な洗脳、休日にふと見せる安心できる時間のトリプルコンボが直撃して主人公はめでたく永遠入りするのでした。
……と思いきや、【こんな幸せを、知れるなんて】EDでは見事に完膚なきまでにフラれてましたね。存在理由を失い自らが消えてしまうことを理解した上での雪花ちゃんの優しさにほかならないのですが。ああ、ここでハンカチが要るんですね……。
主人公は病院送りで時々手足がわずかに動いていたようですが、おそらく主人公には常時レム睡眠(夢を見ている)状態となるための脳波操作、夢の中で常に雪花ちゃんと過ごし続けるための絶妙なマインドコントロールが合わせ技となって永続的に繰り出されていたと思われますので、雪花ちゃんの能力にはおそれ入るばかりです。
雪花ちゃん的には【私が、この手で……】EDも外せません。もっともわかりやすいヤンデレ状態が描かれています。形式上は雛菊ルートのため勝利は雛菊に譲ることとなりますが、神社に出入りできたわりに破魔耐性がなかったのが悔やまれるところです。

本作では各ルートで幽霊との向き合い方がテーマに浮上します。作中では幽霊が能動的に活動していますが、一般にあくまで幽霊を知覚できるのは生者のみで、幽霊が自ら悩んでいるように見えたとしても、それはその場にいた生者の想像です。生者2人以上と幽霊の会話が成立しているのは余程のシンクロ率の高さと形容するほかありませんが、死者を想像の中で活発に生き永らえさせるための手段として、生き残った者による死者の幽霊化は太古の昔より続けられ現在に至っているところです。過去の人と割りきれずにあれやこれやと想像してしまう習性に着想を得たのが本作なのかもしれませんね。

追記:フルコンプしました。
各EDを見た後でも、【永遠に……】EDの安定性は揺るぎないですね。絶対に裏切らないヒロインがいて、生活の不安が皆無な状況というのは至上の理想世界です。両方の成立にはフィクション要素がどうしても必要ですが、雪花ちゃんはとてもリアルに近いすれすれのところまで来て実現してくれているすごい人です。

以下はほかの各ルートの雑感です。

  • まつりルート
    さすがのメインヒロイン。ほかのルートでかなり嫌われ役を買って出ていたのが印象的です。後半で明らかになる過去話を含めると、明るいキャラとは裏腹にけっこう束縛力があるのではと思います。苦労しているわりに杏という名の脱出路まで用意されて、いたれりつくせりという見方もあるかと思いますが、やや可哀想だったかもしれません。
  • 奏菜ルート
    どうみてもリア充で、壁不足が懸念されます。具体的にどこがとは明示しにくいですが、けっこうあざとい気がします。ほかのルートでも色々と察しが良く、GW連休中同棲し続けてHシーンなしを達成したけだものさん()は完全に手のひらの上ですね。
  • 雛菊ルート
    主人公はよくがんばりました。貴重な寸止めシーンは賛否両論かと思いますが、物語のリアリティという面からして今後も出たりするのではないかなと思わざるをえません。
  • 杏ルート
    天才を前にして主人公が隠し事や嘘などできるはずがありませんでした。某統計で家庭的な女性を求める声が増えているという結果が出ていましたが、そんな層の方々にはたまらないことでしょう。
  • おまけシナリオ
    せっかくのifシナリオですので主人公はいなくてもよかったのでは、といいたいところですが、そうするといかにifだとしても間接的にNTR属性が生じてしまうという問題があったのでしょう。その点で前半ほど良かったと思います。
  • グランドルート
    要ハンカチです。あのキャラに見せ場があります、という書き方になってしまいますが……。ほかのEDを通過済みのプレイヤーは予想できているのに回避できない、条件で解放されるルートならではの感慨のようなものがあると思います。

幽霊が出る話ではありますが、雰囲気は明るいと思います。主人公あたりの命が尽きて幽霊になる展開も見てみたかった気がしますが、主人公周りの友人やクラスメイトが相当にいい人達が揃っているため、その展開は受け入れがたいものになったでしょう。立ち絵の反復横跳びは健在で、動的な画面効果も随所にあり、力の入っている作品と思います。

追記:公式サイトにて第2回キャラクター人気投票結果発表がありました。(2013/2/8)
雪花ちゃん1位きたああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!
・・・こほん。いい結果になりました。票を全振りしてたのが少しは力になれたのでしょうか。ようやく時代が追いついてきたようで、うれしい限りです。