虚ノ少女

Innocent Greyが贈るサイコミステリィAVG第6弾「虚ノ少女」2013年2月8日発売!

(※ネタバレをいろいろ含みます。)

2013年2月8日にInnocent Greyより発売のサイコミステリィAVG(18禁)。

(前作未プレイで書いてます。)
読みは「からのしょうじょ」です。シリーズ第2作である本作は、主に東京を舞台とした現在編(昭和30年代)、主に人形集落を舞台とした過去編(現在編より十数年前)を2軸に、凄惨ないくつかの事件を巡る物語が描かれます。

体験版のときも書きましたが、上品なキャラクターグラフィックと美しく、寒々しくかつ排他的なデザインの背景が世界観をよく表現していると思われます。難読漢字にはルビが振られていますのでひと安心。BGMは場面の雰囲気や冬特有の空気感をとてもよく引き出しています。

読み進めるにつれ徐々に明らかになる人間関係や集落の姿は美しいまでに少しずつの小出しにされ、名前の付いたキャラが優に60名を超える情報量の多い作品世界へ次第に引き込まれる作りとなっているようです。地図での移動先選択シーンは、どうやら適切な移動先があるようで、それがノーヒントで幾度にもわたるものですから、自力でまっとうなエンディングを迎えるのはかなり困難なのではと思っています。時に婉曲的な表現になることもありますが、それぞれのシーンはどこで何が起きているかわかりやすい丁寧な描写がされていると思います。そして未散はかわいい、これは言えます。

初回は見事にゲームオーバーいただきました。読み進めていると、物騒なシーンでは文章が縦書きになるというのが次第に理解出来てきます。さらに言うと、場面転換のアイキャッチの背景が赤いとお察しください、ということも理解出来てきます。各登場人物は血縁関係、交友関係、組織への所属の有無といった要素が複雑に絡み合っており、相関図がカオス状態になるのも致し方ないところです。
公式サイトで修正パッチが公開されましたが、パッチの適用によりもたらされる高速化はヒンナサマの恩恵に違いありません。

追記:エンディングNo.8『あの日の思い出』まで読みました。
ミステリィ要素が多分にあり、いくつかのパラノイアがあり、ストーリーの流れは奇をてらわず正当派的なものと思います。話の内容を隅々まで把握していないと訳が分からなくなるということもなく、エンディングへ到達すればひとまず読み終えたという読後感を得られます。推理パートの難易度については、選択肢自体がヒントになっていることもあり、分かりやすいものもあれば、プレイヤーの推理が要求されるものもあり、バランスが取られているように思います。

追記:フルコンプしました。
31点だと・・・。若い女性キャラの死亡率を低く予想してしまいました。体験版時点の予想がわりとあってたのでひとまず個人的にはよしということにします。
登場人物の多い本作ですが、主要なキャラは大抵何らかの偏執に囚われていて、1人や2人にとどまらないことが物語の緊張感の維持に繋がっていたようです。作中の謎は大方真相が明かされますので、考える事があるとすれば次回作の内容についてでしょうか。ラストで明かされる内容からすると玲人はモチベーションの低下が懸念され、時間が経過しやすくなっていると思います。流れからすると冬子の子は碌な目に遭わない人生が約束されているでしょうから、彼女の生い立ちを描く物語が次回作の主軸になるという可能性はありそうです。

(以下は取りとめもない雑感です。)
紫の虫好きは、作中の数少ないグロ的要素と思いながら読んでいました。表現の怖さに関しては見た目の血液が一番多かったのは体験版で、体験版を読めるなら本編も問題なく読めるようになっているようです。雪子は繰り返し過去の記憶が思い出せないと言っていましたので、実はすでに子供を産んでいて何らかの理由で子供を産んだこと自体を忘れている可能性を考えましたが、どうやらそういったことはなさそうです。小夜さんの声は迫力ありましたね。まさに無病即殺の境地で、同じ声優さんの他作品の声と比べると演技の幅広さを感じられます。