Ringlet the Fairytale(017+1)

(※ネタバレをいろいろ含みます。)

サークルProject Ringletによる民俗学入門Novel(全年齢対象)。
ヨーロッパからオセアニアまで、世界中のFairytaleを収録しています。サイト上ではFree Edition(020+1)を公開中。今年の冬に頒布されたPackage Edition(017+1)にはUIの改良や追加のおまけがあります。話数はフリー版は99話、パッケージ版は108話を予定。本編はElse Lancaster(9)と時折会話を挟みながら各話を選択して読むことができます。また、あとがきから各話の詳細な解説を読むことができます。

3つめくらいまで読みました。
国内の民俗学が好きで手に取りましたが、海外の話となると新鮮で面白いです。民話やら伝説やらを文字に起こすのは当時の現地の大人なわけですから、その内容から当時の生活や思想、暗黙のルールなどを読み取ることができる可能性があるわけですが、それは地域によることはありませんね。本作のエルセのかわいさは言うまでもないことなのですが、エルセに読み聞かせるFairytaleをと考えれば、残酷表現や鬱展開を取り払いたくなるのは読み手としての必定。なるほどと思いました。本当は怖いなんたらというのもあるようですけれど、それら原作(?)が改変されるまでにはそれほど時間はかからなかっただろうと推測できます。ただそうした改変の過程で近代にしかない小道具などが入ると、後の時代考証にはひずみが生じるものかもしれませんね。

追記:一通り読みました。
各話は2回目を読むと、エルセとの会話が先の展開や結末を知っている前提の内容に変化します。エルセは可愛いけどリア充ではない不思議。音楽が聴きやすくてよいと思います。休憩時に肩のマッサージやら朗読やらが始まる世界観には感銘を受けました。まさかこれは一晩の出来事…w
あとがきによると参考文献がかなりの数に上っており、邦訳版のみならず原文も調査されているようです。各話のボリュームはコンパクトで教訓やエンターテインメント性もあり、学校指定で小学生に読んでもらいたいものです。