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(※ネタバレをいろいろ含みます。)

2012年2月にkouri氏により公開のホラーチックな探索型アドベンチャーフリーゲーム)。

両親と美術館に訪れた少女のイヴは館内を巡る内に異変に巻き込まれ、さまざまな仕掛けを解きながら脱出を目指します。途中でギャリーという男性、メアリーという少女に遭遇し、行動を共にするようになります。

急激に注目度が上昇した模様の本作はRPGツクール2000 RTP対応のフリーゲーム。丁寧な作風と怖さを実感できるホラー要素、キャラクターや美術館そのものの魅力や平易な難易度によるとっつきやすさが総合的に人気を呼んだようです。おそらくプレイヤーのほとんどがツクールだと感じていないと思われます。多数投入されている上品な音楽やSEの要素も大きいでしょう。
(以下EDに関する内容です。)
全EDみました。
おすすめは、ネタバレ情報なしで一度クリアすることです。作中にもコメントがありますが、内容に対して未知であるからこそホラー要素を楽しめると思われますので。また、ところどころにある本を読むことや、会話できるタイミングをチェックすることで徐々に世界観が広がることが、より作品に引き込ませる作用をもたらしているようです。全員脱出という玉虫色のEDが用意されていないというのも渋い演出です。個人的にはイヴがメアリーにより軟禁状態にされて永遠に2人きりで美術館の中を彷徨う展開も見たかったところですが、メアリーが外に出たがっている以上ありえないんですよね。
数々の展示品の制作は相当な労力がかかったと思われます。異変のきっかけとなる巨大な絵画やおもちゃばこなど、プレイヤーに的確に不快感や不安感を与える色彩は計算されたものでしょう。花占いが好きという設定の女性陣から花びらをむしむしされるギャリーは実に無力ですが、特殊な環境下では特殊な状況が平然と受け入れられるのだということを端的に表していると思います。