アーシャのアトリエ 〜黄昏の大地の錬金術士〜

ええと、何から書こう?
アーシャのアトリエ ~黄昏の大地の錬金術士~ プレミアムボックス - PS3
(※ネタバレをいろいろ含みます。)

2012年6月28日に株式会社ガストより発売の旧約錬金術RPGPS3)。

とある一地方の人里離れたアトリエで薬士として生計を立てているアーシャは、ある日近くの遺跡で行方不明となっていた妹の姿を目にし、妹と再会できることを信じて旅立つことを決心します。

個人的にアーシャのアトリエが好きすぎる状態になっているので、長めにいろいろ書きます。

  • 雑感
    全体の空気感にとても落ち着きます。凄まじいまでにユーザーストレスが排除されており、操作性、ストーリーの両面から徹底されています。進めていると次々とやることが出てきて、気が付くと3〜4時間経過していたりしますが、それでもゲーム疲れのようなものはなく、緑の多い土地柄ということもあり、ゲームでありながらアナログな世界でリラックス効果を得られるような稀有な作品です。
  • 物語の舞台
    本作は何度目かの黄昏を迎え下向き傾向の世界を舞台としていますが、そこに暮らす人々は傾向のことなどは知る由もなく、結果として小さくまとまった安定感のある生活様式が形成されているようです。アーシャさん本人のほわほわ感も影響して、とても居心地のよさそうな世界に見えますね。
  • 徹底されたユーザーストレスからの解放
    もっとも大きいのが、「リセットしなくてよい」というポイントでしょう。採集するアイテムは品質や効果が一定なので、望みの一品が出るまでリセットを繰り返す必要はなく、調合では開始前に完成後の効果や潜在能力が見えて失敗により炭になることもないので、望みの結果が出なかったからとリセットを繰り返す必要もありません。
    移動も快適な作りになっています。街中ではSTARTボタンからいつでも行き先を選択できるので、毎回各建物の出口まで数秒かけて移動する必要はありません。採集地ではSTARTボタンからいつでもフィールドに戻ることができ、終盤に至っては好きな調合拠点に一瞬で戻ることができます。
    戦闘に関してはゲームバランス的なところとも関わってきますが、通常戦闘は1〜2ターンで終わらせられるというのも重要でしょう。毎回3〜5ターンかかっていてはかなり冗長と思われますし。パーティに入っていないキャラにも同数の経験値が入り、「レベル上げをしなくてよい」というのもポイントでしょう。
    ストーリーに関しては、ユーザーに負の感情を抱かせるような「悪役が登場しない」点があります。また、作品内に百合妄想が可能なシーンは随所に盛り込まれているものの、声の当てられているキャラ間では恋愛展開がほぼ起こらない(あっても未遂)という謎のセーフティネットも完備されています。
  • 音楽
    音楽は公式サイトで数曲聴くことができますが、ループでいくらでも聞いていられる心地よさがあります。アーシャのアトリエでかかる「追憶の丘」は本作を象徴する曲だと思われますが、世界観やアーシャの心情が織り込まれているであろう素敵な曲です。
  • グラフィック
    キャラクターデザインもさることながら、3D化して多彩な表情や動きをつけた中の人も評価されるべきです。アップでみても綺麗なビジュアルに機器と技術の進化を感じます。
  • 調合
    今回は材料や投入する順番やスキルの使用によって変化する品質、4属性値、ストックヤード上の特性、残りCPに目を光らせながら、狙いの効果や潜在能力の付いたアイテムの調合を目指す仕組みです。初めのうちは材料を選ぶだけの単純な調合ですが、アーシャさんの調合レベルが上がるにつれて上記のような状態になります。魅力は何といっても変数の多さで、どのアイテムを作るときでも毎回試行錯誤することになります。それでいて調合結果が事前に見えるので、リセットの必要はありません。アイテム数も多彩なので、最適な材料やスキルの順番の組み合わせを覚えるのは困難ですが、またその必要もなく、アーシャさんの言うように適当な感じでできてしまいます(もっとも潜在能力の理解にわたしは2周目までかかりましたけど)。
  • 採取
    採取ポイントで○ボタンを押しっぱなしにしていれば、次々と採取してくれます。今回はアイテムごとに品質や効果が一定なので、取捨選択やら一喜一憂やらをしなくてすみ、非常に快適です。シンボルエンカウントなので、敵のレベルが高いエリアでも採取だけして帰ることが簡単にできるようになっています。また、各エリアで一通り採取することが課題とされており、課題クリアにならなければ次の採取地へ行けないようになっているのですが、これがゲーム進行の快適化に一役買っており、「あの材料がなくなったからまた採りに行かなければならない」という事態が一度も起こらないという驚異的な結果をもたらしています。
  • 戦闘
    各エリアごとに敵を一掃することが課題とされており、課題クリアにならなければ次の採取地へ行けないようになっているのですが、こちらもゲームバランスの安定に一役買っており、適度にレベルアップするため戦闘に苦労しなくてすむようになっています。また、終盤には手ごたえのほしい方向けに強力なモンスターが登場するようになっています。
  • イベント発生
    街中やフィールドをうろうろしていると、次々にイベントが発生します。そこから目標が派生したりしますので、まったく「中抜け」の起きる余地がありません。余談ですがイベント中にキャラが動き回ったり視点が切り替わったりしますが、あれは3Dになったからこその中の人の苦労ですね。
  • 想い出ポイント
    人の少ない土地なんかでは、ちょっとしたことでも大事な思い出として書き残されたり語り継がれたりするものです。本作ではたまった想い出ポイントを消費してイベントの内容を日記に書きとめ、特典としてステータスアップ等の効果を得られるようになっています。
  • チラシ
    無慈悲なまでに無翻訳のチラシの使用言語は英語で、西洋仕立てにデザインされています。ズームすると細かな字まで読むことができ、高校生くらいなら読めるであろう平易な文章で、読むと世界観にまつわる情報やらお得な情報やらを得られるようになっています。学生さんならがんばって解読してくれるでしょうし、外国語のほうが異国感が出ますので、良い設定だと思われます。気球に乗りながらチラシを拾いまくるシュールな図は間違いなく確信犯です。
  • ニオとの再会
    発売前からニオと再会後にも冒険できることは公式ネタバレされていましたが、実際には険しい道のりで、ニオを助けられた時にはかなりの達成感があります。1周目は3年目の10月、2周目は3年目の6月でした。詰将棋の本番はニオ救出後で、発生条件の不明な多数のイベントを前に平和な空気感の中で時間との戦いを強いられる名状しがたいひとときが用意されています。
  • 新たなるアトリエ
    大それたことは書けませんが、インターフェースをよりアナログ方向へ進化させ、アナログな見た目を維持しながら同時に操作性や視認性の効率化が追求されています。十数年前のアトリエがここまで進化して、これからも進化し続けるであろうというのは、今後持てるのひとつの楽しみだと思います。
  • たるー!の所在
    ゲーム開始直後からところどころに見えるたる、しかしいくら調べようとしても「あのセリフ」が流れない、と不思議に思いながら世界中を旅していたら、やはり「たるー!」は存在していました! これほどありがたく、かつ感動的な「たるー!」もめずらしいのではないでしょうか。
  • 2周目
    2周目でぜひやりたくなるのがハロス村でのキースさん撃破ですね。これが素敵なバランスになっていて、装備を引き継いでいれば被ダメージは抑えられますが、キースさんの防御力も高いので通常攻撃は引き継いだ武器でもあまりダメージを与えられません。また必殺技には耐えられないので、ほぼ必然的にアーシャさんのアイテムの出番が多くなります。戦闘不能回復用に気付け効果の付いた頭脳明晰の煎薬、攻撃用に獣ダウンの臭いのついた匂い袋、足を絡めるのほか各効果のついたレヘルンが有効のようです。ベルちゃんにエレメントコールまでしてもらえれば安泰でしょう。

本作は進めてさえいれば、神の声(としか言いようがない)により指定されている3年間を超えた時点で、イベントの取りこぼしがあっても必ずクリアできるようになっています。一方、イベントをすべて回収しようとすると3年越しの詰将棋に取り組むこととなり、難易度はユーザーの目的によって大きく変動するようです。

いま2周目の3年目10月末まで進めていますが、お手伝いシリーズはレジナさんとニオの2名を残すのみとなりました。一時はどうなることかと思いましたが、かなりの過密スケジュールで進めればなんとかなるようです。ターニャちゃん関連が難関で、ターニャちゃんに会うだけのために塩の砂漠へ行き、日数節約のため採取に入らずにフィルツベルクとの往復を繰り返すことになりますが、そのあたりはターニャちゃんの指くるくるのかわいさを思えばさもありなんというところですね。1周目で全イベント達成は非常に厳しいと思うのですが、ゲーム内容を理解した上でなら、あるいは可能なのかもしれません。

追記:3周しました。
2周目の段階で装備強化と図鑑コンプを済ませ、3周目では初めから全エンディングのフラグ成立のみを目指しました。2周目でも十分可能ですが、最初の品評会をスルーしてしまったので、戻るに戻れませんでした。ニオ救出は2年目2月まで短縮されました。リンカさん、ハリーさん以外のフラグは3年目6月までに成立しました。
お手伝いイベントシリーズは3年目4月1日以降からスタートできるようになり、リンカさんお手伝い関連のみ3年目10月1日から始まります(イベントの冒頭で季節関連のセリフがあります。初日、次の日、次のバザール、バザール終了後にフィルツベルクにて会話イベントがあり、あとは流れで進みます。)。開始時期を見つけるまでは条件の見落としがあったのではと右往左往したものです。アーシャさんがリンカさん?からもっと攻められるシーンを是非!

さて、病にかかったかのようにプレイし続けた本作ですが、全トロフィーを獲得したことでようやく現実へ戻る嚆矢を得ることができました。ここまでやめられなかったゲームは久々です。夢のようなゲームでありながら、新シリーズの第1作なんですよね。また新作が出てほしいものです。アンケート早く送らないと・・・。

追記:DLC(デラックスパック)
1600曲で300円はどう考えても異様w ということで入手しています。CD音源との違いは、例えば自動ループになっている点でしょうか。差し替え設定は手を広げるとなかなか大変ですが、とてもよい曲が多く、純粋に聴くための用途としてもよいかと思います。

  • DLC(うしの楽園)
    うしさんつよいよー。しなくてすむかと思われていた強力装備の作成を経て、グランドドラゴン以外は一瞬で倒せるくらいの程度で、ようやくなんとかなります。うしさんには癒されるなあ(棒)。本編では入手できる数が限られているアイテムの一部をいつでも入手できるようになるので、そういった補完的な要素もあるようです。それにしてもベルちゃんの必殺技演出は何度見ても秀逸。言い知れぬ感動を覚えます。
  • DLC(コスチューム追加)
    アーシャさん、ベルちゃん、リンカさんの水着コスチュームが配信されました。ベルちゃんのコスチュームは電撃PlayStation Vol.525に掲載のプロダクトコードからダウンロードできます。検討に検討を重ねられたであろうことをうかがわせる水着デザインは、戦闘シーンにもイベントシーンにもよく映えます。イベント中だとリンカさんの胸がゆれてる! 実にけしからんです。
  • DLC(仲間キャラクター追加)
    マリオンさん、オディーリアさんのデータが配信され、パーティへ加入できるようになりました。護衛の必要がないことに定評のあるマリオンさんの早撃ちっぷりと処理落ちのなさに驚愕。スキル使用で敵数によっては秒間32連発は堅いでしょう。オディーリアさんは画面を覆わんばかりのふわふわ衣装が美しいですね。淡々と敵を殲滅するオディーリアさんならではの迫力も感じられます。2名とも採取中のセリフがあるのが地味に良いポイントです。
  • DLC(隠された楽園)
    最深部のボスどういうことなの・・・。手前にもう1体ボスがいて、そちらは運次第でどうにかなりますが、最深部のほうの瀕死時のミサイル連発はいかんともしがたいものがあります。HP200以上は必須で、必殺技を使うタイミングは後半に取っておくということですよね、はぁ。