パジャマさんこんにちわ 体験版

(※ネタバレをいろいろ含みます。)

2012年10月26日にEMUより発売予定の学生寮病みキャラ猟奇純愛ADV(18禁)の体験版(公式サイト)。

主人公は遠い親戚からの依頼で人里離れた場所にある養護施設「百合織園」の管理人を引き受けることになり、施設の入居者である少女達と交流を始め、やがて彼女達の心の闇を知ることとなります。

体験版では主人公が施設を訪れ、住人たちから受け入れられ平和な日々を過ごし、やがて事件が起きるまでをプレイすることができます。主人公は常識人でまじめな好青年なので、落ち着いてヒロイン達との対峙を見守ることができそうです。平和な日々のパートでは普通にイチャイチャしていてなんか楽しそうなんですけど、現実もある程度はそうなんでしょうか。シナリオを書いた方が養護施設と何らかの関係を持っていたかは定かではありませんが、ある程度リアルな知識に基づいた内容にされている印象があります。
本作では選択肢が随所にあり、また選択肢単体からは先の展開を予想しにくいところもあり、王道のビジュアルノベルといった体裁になっています。バッドエンドはかなり豊富に用意されているようです。事件に関してはミステリ的な推理も取り入れられており、選択肢次第では体験版の段階で犯人も動機も明らかになります。体験版でそこまで入れていいのかという疑問もありますが、本作のメインは少女達の心の闇でしょうから、その点ではやはり体験版的な情報量といえます。もっとも車で脱出するパートだけ犯人が違うっぽいという謎は残るので、あるいは犯人はさらにいるのかもしれません。

Hシーンの昭和後期を彷彿とさせるBGMにはやや驚かされます。施設にあるPCのOSが古かったり、(TwitterSkypeではなく)チャットを多用していたり、テレビがブラウン管の14インチだったりと、キャラクターの絵柄も含めてこの作品の時代は10年ほど昔にあるかのようですが、ノートパソコンで株式相場か何かをチェックしている田倉さんや永野さんの写真の日付を見る限りではやはり2000年以後のようです(写真に日付を印字するというのも最近では少ないと思われます)。潤沢な予算があるわけではない養護施設では備品の買い替えも積極的にはできず、結果として間接的に時代に取り残された空間があるのだという製作者側からのメッセージなのかもしれません。

本作のメインであろう病み要素については、体験版で明らかになるのはメインヒロインの雛村さんです。ほかのキャラは、田倉さんは会話に特徴こそありますが、詳細は不明といえるでしょう。雛村さんにはとある別人格が存在する模様なのですが、二重人格でもうひとりの人格のほうがヤンデレというのはものすごく斬新です。これまで考えもしませんでした。両方の雛村さんを相手にしなければならない主人公を思うと、その道のりの険しさは容易に想像ができてしまいます。