Ringlet the Fairytale(026+2)

(※ネタバレをいろいろ含みます。)

サークルProject Ringletによる民俗学入門Novel(全年齢対象)。
ヨーロッパからオセアニアまで、世界中のFairytaleを収録しています。サイト上ではFree Edition(023+1)を公開中。今年の夏に頒布されたPackage Edition 2(026+2)にはUIの改良や追加のおまけがあります。話数はフリー版は99話、パッケージ版は108話を予定。本編はElse Lancaster(9)と時折会話を挟みながら各話を選択して読むことができます。また、あとがきから各話の詳細な解説を読むことができます。(前回の感想

単にわたしが不勉強なだけですが、次々と単語も内容も初めて聞くような民話や物語が立ち現われるのが、感覚としてとても新鮮です。今回の追加分は、対象年齢が1歳くらいは上がっているでしょうか。初見ではちょっと難しい言い回しや、少しこわくなりそうなシーンがごく一部で現れていますが、ここまで読んできているエルセなら大丈夫でしょう。

3回目以降の既読の物語は、1回目〜3回目を選択できる親切設計です(回数によってエルセとの会話内容が変わるので、それぞれを自由に読み返せるのは便利という意味です)。追加分は各話にイベント絵が用意されていて、セピア彩色とはいえかなり高規格な作り。それぞれ読んだ後のエルセとの会話で2828してしまうのは不可避です。

以降、各話の短い感想です。
#18、なぜ猫は黒くなったのやら。初めから黒でいい気もしますが。猫を譲り受けたときに黒だと心証がよくなくなる(という文化)なので、初めは白等にすべきであり、ご都合主義的な何かで色が変わったといったところでしょうか。
#19、パン屋は情報料をもらうべきw まあもらってたのかもしれないですけれども。
#20、ただでさえ牛が消失したのに、賭けに負けてたら収支が牛以上にマイナスになっていたのですからスヴェア奥さんはきっと内心マジギレですね。もしこれが最初のことでないとすると、当時としては多少のことでは相手の替えがきかず、仲良くすべしというところもあったのかもしれません。
#21、難解トークに定評のあるリア充。フランセットのルールを理解する早さはさすが。外見の美しさも知力も人間の魅力として肯定して描かれているなんとも現金なお話。
#22、みえてる、だと……。主人公の本気。適度な緊張感もあり、最後に振り返ってみるとみんな良い人、というストーリーはとても良いと思います。
#23、エドナ役のエルセ……、うーむ、これは世間一般に言うリア充ではないんですよ、ええ。だがしかしですよ、ねえ。絵は2枚。幽霊に実態があるという確実な描写は含まれないので、棺桶屋の空想ととらえる余地も残されています。悲壮感は一切ないですね。
#24、背景の絵画に描かれているのは先代でしょうか。馬3頭と線はなぞなぞと捉えないと不条理さが残ります。あのまま結婚に至るとか、モラルハザード甚だしいものです。
#25、霧が濃くなってきたな……。アニメで見たくなります。いいところで飛ばされる場面転換は、現代でもみられますね。
#26、性別による役割分担が厳格であったことを思わせるお話。子供が全員同じ性別なら、本来はその性別ならやらないはずのこともすることになるわけですが、そういったところは盲点的に認識されなかったりしますね。あくまでも社会的通念が前提であると。比較するとやはり、今のほうがゆるやかですね。