ハピメア

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(※ネタバレをいろいろ含みます。)

2013年2月28日にPurple softwareより発売の甘くて幸せな悪い夢のADV(18禁)。

主人公は繰り返し見続ける明晰夢の中で本来会わない筈の者に会い、次第に周囲のヒロインも同じ夢に巻き込まれるようになります。(体験版の感想

多重構造の夢の世界の中で先の読めない展開が続き、迷子になるような気分になれます。どの場面が現実で、夢で、夢の中の夢であるのか、それぞれ誰がみている夢であるのか、どの程度誰からの操作が入った夢であるのかといった正確な判別をするのは難しいですし、分析をすることにさほど意味はないように思われます。高い密度で繰り広げられるキャラのセリフは感覚的で抽象的なものにほぼ限られ、滅多に具体的な物言いをしないことも夢のふわふわ感を高めています。ハーレム成分は多めで、HシーンはHシーンでエロいですし、夢の仕組みも舞亜や有栖の正体も予想しにくいですしで、読んでいてだんだんぼんやりしてきて"トリップ"できるめずらしい作品です。

咲、弥生先輩、景子のスタッフロールまで読みました。
本作の夢は一言で表せるものではなく、誰かの願望のようであり記憶のようであり、時に不条理で集合的な意識の産物のようであり、色々と掘り下げられた夢として描かれているようです。ヒロインまわりは、精神的ドMの方に向いていそうです。主人公に対してにんまりフェイスで幾度となく思わせぶりな言葉で惑わせる舞亜、高感度の嫉妬深さでことある度にやんわりと脅す咲、状況を楽しんで手玉に取る弥生先輩、冷静な物言いでダメージを与える景子、追い詰められた状況にあっても態度を固めないヘタレ主人公とあれば、立派な陣形が形成されているように思います。有栖はあれですよね、パッケージ絵的にラスボスですよね。
ルート分岐した後も、ほかのヒロインはわりとよく登場します。別ルートの伏線のようなものを張ることもあるようですね。舞亜にはなんとか団体の勧誘やらなんとか商法をさせたら相当強そうです。主人公がなかなか落とされないのが不思議に思えますが、主人公の困り顔を見るために手加減しているのだと思えば納得です。ヘタレでおっぱい+匂いフェチの主人公ですが、見た目は美少年で美しさという点ではヒロイン勢を上回っているように見えます。ハーレムの源泉がこれだとしたら、やっぱり見た目なんですかねえ(遠い目)。

追記;フルコンプしました。
複雑に描かれた夢について、終盤でおざなりな解説やら理由付けが入らなかったのは夢特有の"よく分からなさ"が残るので良かったと思います。舞亜の正体には一部謎が残りますね。主人公やほかのヒロインの意識から独立した思念体が夢の世界内にいるとしか思えない言動を見せることがありましたので、主人公の願望の表れでないのだとすれば、無意識の表れという言い方であれば説明がつくのかもしれません。
それにしても、メインヒロインのHシーン数が各4だというのに、主人公の中でもっとも存在感の大きかった舞亜が2なのは違和感があり、まだ全員3のほうが丸く収まるように思います。舞亜ルートのテキスト量格差も然りで、ストーリーの内容に比して分量があっさりしていて、共通ルートで沢山喋っていたとはいえ、グラフィックが綺麗なだけに、もっとも面白いルートになると思っていたわたしとしては惜しまれます。
音楽は世界観に合っていましたね。終わりなき円舞曲、胡蝶の夢あたりが流れると、とても安定感があります。ショートカットキーやマウスジェスチャー設定を始めとするコンフィグ関係は異様に充実しています。過去へのジャンプも可能なバックログ中に表示されるお堅い文章のチャプター解説はつい読んでしまいます。中断機能(ストーリー途中でゲームを終了でき、次に起動するとタイトル画面やロード選択なしでストーリーを続きから読める)にはお世話になりました。