1人殺すのも2人殺すのも同じことだと思うから 10月編

(※ネタバレをいろいろ含みます。)

2013年11月1日にサークル虹猫により公開の異能力×病み・猟奇ノベル(R15)(フリーゲーム)。

学校行事は体育祭を迎え、こはるとはるまの子が生まれる前後の様子が描かれます。

こはるとはるまは完全に夫婦です。誰にも2人の仲は邪魔できないでしょう。歩道橋の2人の影が見える背景は味わい深いですね。
話が盛り上がっているところへ回想シーンが入ると、誰かがもう長くないなと読者の側としては心の準備をすることができます。今回は多段式に回想シーンが配された親切設計でありますが、それにふさわしい人物が入ってきますので、辛い人には辛い展開かもしれません。序盤からいたキャラが新登場のキャラにあっさり殺されていくさまは正に諸行無常、容赦のなさと潔さが同居しているように思えます。

ねこの能力はなかなか難解ですね。レベル9を押さえ込むことができ、相手の視覚や音声から回避が可能な能力のようです。みすずが相手ではやや無効化されてしまうようですが、おおむね相手の認知能力を短時間自然に麻痺させる能力といったところでしょうか。戦闘の様子からすると隙がありそうですが、ねこの自信がどこから来ているのか疑問ではあります。

これから12月にかけて、人は減っていく一方でしょう。みすずの対処法にこれといった糸口も掴めぬまま物語は終盤を迎え、残る者たちの激しい戦いの末に待つのは何でしょうか。普通に考えれば赤ちゃんにはまだ何もできないでしょうし、現時点の登場人物のみでは、みすずの圧勝は見えています。ラストにみすずの理想世界が描かれるとすれば、年齢制限はまぬがれないような予感がします。