1人殺すのも2人殺すのも同じことだと思うから 12月編

(※ネタバレをいろいろ含みます。)

2014年1月1日にサークル虹猫により公開の異能力×病み・猟奇ノベル(R15)(フリーゲーム)。

シリーズ完結編。陰暦3姉妹の過去エピソードを中心に、数々の謎が明らかになります。

終始ぶれることのないみすずはある種ダークヒーロー的で、当主としての貫録も実力も十分といえそうです。
待ちに待ったタイトルコールは1年前の12月31日に用意されていました。みすずが殺害を繰り返すようになるきっかけには、なかなか年相応な一面もあったようです。もっとも遊び感覚で実行する感性については、家系の存続を重視するあまり子供への対応に差が出すぎたみすず母の感性とも合わせて、やや病的であったと言わざるをえません。病的といえば、思い返せば大半の登場人物は1度は病んでいましたね。

ラスト付近に残された謎もありました。後に回答が示されるかは不明ですが……。
・みすずのいすずの行方
みすずのいすずはそのまま存続していそうですね。いすずが消えてしまうとみふゆの能力も使用できなくなるはずですので大幅な能力ダウンにつながるため、みすずが自ら消そうとすることはないでしょうし、いすずが自ら発動するような事態も確認されていませんので、そのまま健在でしょう。
・手紙は誰から誰宛てか
ありていに推測すれば、"更生して"大阪研究所の施設長となったみすずから、はるまとみふゆに宛てた手紙でしょう。はるまとみふゆの霊圧が消えていればみすずは気付いていそうなものですが、距離的な理由で気付いていないという可能性はあります。
・14年後の陰暦さん
4コマにありそうなフレーズですが、それは置いておいて。普通に考えて、はるの後追いで誕生したみすずの子でしょう。もうひとりの親はまつなと考えるのが妥当でしょうか。もしくは研究所で調達した未登場の人物でしょう。この場合、会話の様子からしてはるを養育したのは鷺沼家の残党なのではということにもなってきますけど。あとこっちみんなw

ここまで読んできましたが、ジャンル名の通り異能力×病み・猟奇要素がR15の範囲で各話に配され、伏線が多数用意されながらも先の読めない展開で最後まで楽しく読むことができました。個人的には、何がどうなるかわからないという物語は面白いと思えます。その点みすずはとても良いキャラをしていたわけですが、何をもって予想できるかできないかというのは難しいところです。しいて言えば、あらすじやコンセプトの部分から感じ取れるもの、ということになりますが、そこには被害の程度や対処方法の予想できない脅威の存在がメインに据えられているような気がします。